紺野道昭通信

Ⅱ.時間・人生・経営を重ねる③ 五分早く動く経営(定期発信-Vol.246)

風の強い日に、屋外での作業を続けるかどうかが問題になったことがあります。

予定どおりに終わらせたい。

作業を止めれば、お客様にも説明しなければならない。

現場には、予定を崩したくないという気持ちがあります。

しかし、機密文書飛散による情報の流出や、回収物が飛んで事故や怪我を起こしてしまったら、「予定を守るためだった」という説明は通用しません。

必要なのは、起きたあとの言い訳を考えることではなく、起きる可能性を無くすことです。

 

車の運転にも云えます。

黄色信号で速度を上げる車を見かけます、

その人は急いでいるのでしょう。

しかし、そこで事故を起こせば、五分や十分の遅れでは済みません。

相手を傷つけるだけに留まらず、多くの人の大切な時間も奪います。

余裕をもって最初から早く出発していれば済むことです。

 

経営も同じです。

会社が苦しくなってから、人を育て始める。

事故が起きてから、安全対策を考える。

問題が大きくなってから、対処に走る。

後継者が必要になってから、慌てて探しだす。

 

これでは、いつも対応が後手に回ります。

問題が表面化してから動くのではなく、まだ余裕があるうちに動く。

間に合わなくなってから速度を上げるのではなく、何事も「五分早く出発」する。

一見、小さな差かもしれませんが、数年後には大きな違いが生じます。

 

会社には決まりが沢山あります。

 

鍵を掛ける

定められた期限通りに処理する

記録に残す。

危険な状態なら作業を停止する

決められた方法で廃棄する

 

どれも難しいことではありません。

しかし、凡事徹底という言葉もあるように、当たり前のことを当たり前に行うことが実は一番難しいのです。

 

今回は大丈夫だろう

今まで問題にならなかった

時間がなかった

悪天候だった

 

小さな妥協の積み重ねが、大きな問題を生みます。

重大な事故は、ある日突然起きたように見えます。

しかし「ハインリッヒの法則」をご存じの方も多いと思いますが、大事故の前には、小さな見逃しや、ルール無視、ヒヤリハットの積み重ねが必ずあります。

従って管理職には、問題が起きたあとに叱るだけではなく、起きる前に気づく力が求められます。

 

そして、経営理念は飾りではありません。

目の前で起こった出来事をどう判断するか考えるためにあります。

この仕事の目的は何か、誰を守るためのルールなのか、目先の効率よりも優先すべきものは何か。

現場と理念を結びつけることが出来れば、社員が自分で判断できるようになります。

 

創業100周年も単なる会社存続の話ではありません。

私がすべてを決めているままでは、到底100年先まで続きません。

何でも社長に判断を仰ぐのではなく、社員が自分たちで考える。

理念に照らせば、本当に正しい選択が出来る筈です。

今だけでなく、5年後、10年後に何が残るのかまで考え抜いて、必要なときに相談して欲しいのです。

 

この風土無くしては、社長が交代しても名前が変わっただけになってしまいます。

私は、会社を自分だけの所有物だとは全く思っていません。

社員みんなのものであり、その中で、私がたまたま社長という役目を担っているだけです。

なにもかもいつまでも決め続けることが私の仕事ではないのです。

次世代の社員みんなが、自分で正しい判断をできるようにすることが求められます。

 

私が元気でいられる時間にも、当然限りがあります。

後継者が必要になってから考えるのでは遅いのです。

 

もう一度云います。

「五分早く動く」というのは、単に急いで行動するということではありません。

 

※生成AIで作成